BIGMAMAシングル「BOYS DON'T FLY」
<金井政人による楽曲解説>
今回のシングルではそれぞれの曲に一人ずつ、良くも悪くも癖の強い男が登場します。1曲目の「Moo」では、ある一人の男が、女性を口説くために恥ずかしい言葉を惜しげもなく連発する場面が描かれています。ちょっと前に流行ったセミリタイアをして、
星の綺麗な海の見える場所に行こう、朝食を朝からフルコースで用意するよ、テレビは君の好きな番組でいいよ、さらにはゴミ捨てや掃除などあらゆる手段を使ってその女性を求愛します。
しかし、曲が進んでいくにつれて、その鼻の大きなピアス最高だよ!白と黒の髪型も素敵だね!などからお分かりのように実はその対象が『牛』であって、そして、その牛にさえ「Moo~(no)」と断られてしまうという。という冴えない、情けない男を描きました。
サ○エさんに出てくるイ○ラちゃんと相反して、牛という生き物は僕が思うに究極の逆イエスマンだと思います。そんな牛に恋してフラれ続けるこの男はなんて情けないのでしょう。
2曲目の「CHAIN」では、冒頭で主人公がある男を殺そうとするシーンから始まります。何も知らずにこの始まりを聞くと、主人公はただの残虐な殺人者に見えます。しかしこの曲は後に雰囲気を変え、主人公の殺された娘への想いが歌われます。実は主人公はただの殺人者ではなく、「過去に娘を殺され、その復讐を誓う父親」だったのです。「CHAIN」というタイトルのように憎しみが憎しみを生む、まさに負の連鎖の中にこの主人公は生きているのです。
3曲目の「Do you remember?」は少し特別で、一見男女の色恋沙汰を描いているようにも見えるでしょうが、実はそうでは無くて、それをただ傍観しているだけの「傍観者の歌」です。
ある画家が「叶わぬ恋」と題して女に裏切られる男を描いています。人間にはその思考のタイプからよく右脳派、左脳派なんて分類がされています。流行なんでしょうかね。一般的には右脳は直感力を、左脳は思考力をその主な作用として持つそうです。
彼の描く絵の中では、男は女の右半分、直感的なところは愛を勝ち取ることができた。しかし、左半分の理性には勝てなかった。よって左手に指輪をしていた女はもとの契約に従事し、いつもの合図で現れず、駆け落ちするに至らなかったのでしょう。人間は左手の薬指に指輪をする風習があるけれど、それには理性に働きかける何か意味があるのではないかな、と。
そしてただ一人傍観者であるこの画家の男は自分の右脳も左脳も働かせることなく、パレットの上に色を足すことなく終わりを迎えてしまいます。
まぁ長くなりましたが以上のように、今回のシングルにはタイプは違えど、CDの中に三人の男が生きています。それぞれ違った形で、悩んだり苦しんだり、悲しかったり辛かったり、様々な苦痛の中に生きています。
そんな中でもね、僕のメッセージは「BOYS DON’T FLY」なんです。牛に恋するくらい頭がぶっ飛んでしまっても、誰かを殺したいくらい憎んでしまっても、自分では何も出来ない傍観者であろうとも、お空を飛んではいけないんです。
世の中には世界平和や環境保護など立派なメッセージを掲げているアーティストの方がいらっしゃると思います。正直に言うと僕そんなこと書けなかったんですよ。なんというか僕が書くとうそになるというか。まず身の回りのゴミを拾いなさいというか。
でも、普段なら「生きてれきっとば良いことあるよ」なんて死んでも言いたくないけどね、僕のサハラ砂漠並みに荒んだ心を振り絞って出てきたメッセージがね「BOYS DON’T FLY」これでした。人間頑張ってみるもんですね(笑)
この曲達がほんのちょっとでも誰かの心に届いたらうれしいです。
BIGMAMA 金井政人
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